宏楽園: 二万坪の庭園を誇る和風の宿
長かった冬がようやく終わり、もうすぐ小樽にも桜の季節がやって来る。小樽には桜の名所がいくつかあるが、その中のひとつが、朝里川温泉街に通じるゆらぎ街道沿いの宏楽園だ。毎年見ごろの季節になると、二万坪の庭園に咲き乱れる見事な桜が、訪れる人々の目を楽しませる。
宏楽園は、露天風呂付きの個室がある和風旅館としても有名で、アジアを中心とする海外からの利用客も多い。充実した内容の英語ホームページを開設しており、海外に向けた情報発信にも積極的だ。
今回は、二万坪の庭園を誇る和風の宿「宏楽園」の若旦那としてご活躍の米山幸宏 (よねやまゆきひろ) さんにお話をうかがった (取材:2006年4月10日)。
インタビュー
GLOTAL (以下 G):
今日はお忙しいところインタビューの時間を割いていただき、どうもありがとうございます。 最初に、宏楽園さんの創業から現在までの歴史を簡単に教えていただけますか?
米山幸宏さん (以下 米山):
どうぞよろしく。宏楽園の歴史は、私の祖父にあたる先代が昭和12年に今の庭園を含む45,000坪という広大な土地を購入したところから始まります。当初は、オタモイの竜宮閣に負けないような巨大な遊園地を作る構想を持っていたようです。本業の鉄鋼店を経営するかたわら、先代が自らの手作業でこの庭園を作り上げました。その後、昭和30年に温泉を掘り当て、昭和32年に旅館としての営業を始めています。今年でちょうど50周年を迎えます。
G:すべて手作業でこれだけの庭園を作り上げたというのは驚きですね。桜の季節には私もよくおじゃましていましたが、この庭園にそのような歴史があるとは知りませんでした。これからは心して鑑賞させていただきます。
宏楽園さんは、老舗旅館であると同時に、インターネットによる情報発信に積極的という現代的な顔もお持ちですね。
米山:施設に関する情報はひととおりホームページから見られるようになっています。各種利用プランなども掲載していますので、事前の検討にもいろいろと役立てていただけると思います。
G:英語のページも充実していますね。
米山:海外のお客さまからのお問い合わせやご予約は、インターネットを通じて行われる場合がほとんです。うちは香港からのお客さまが多いのですが、英語のホームページが有効に機能しています。
G:海外のお客さまから特に好評なサービスなどはありますか?
米山:個室内の露天風呂は特に評判が良いですね。香港、あるいは他のアジアの国もそうだと思うのですが、日本の銭湯のように大勢で一緒に風呂に入る習慣がないので、大浴場の露天風呂には抵抗を感じる方も多いようです。露天風呂付きの個室であれば、ご自分の部屋で心おきなく日本の温泉を楽しんでいただけます。それと、やはり冬の雪が楽しみで訪れるお客さまが多い。真冬の寒中に浴衣姿で外の庭園に出て、雪の感触を楽しむ人もいらっしゃいます。冬の寒さそのものが新鮮に感じられるのかもしれません。
G:宿泊施設として、特に海外のお客さまを意識して工夫していることがあれば教えてください。
米山:海外から見えたお客さまには、フロントで最初に英語のガイダンスを直接お渡しするようにしています。施設利用に関する一般的な情報のほか、浴場の利用マナーに関する資料もあります。それ以外では、特に海外のお客さま向けに、というものはありません。むしろ、日本という外国にいるからこその不便さも一つの旅の面白さではないでしょうか。文化の違いを楽しんでいただけたらと思っています。
ただ、交通アクセスに関しては、たとえば小樽駅と朝里川温泉を往復するシャトルバスを共同運行するとか、公共交通機関の利用方法に関する情報を提供するなど、工夫の余地はあると考えています。そういった基本的な情報は常に必要とされていると思います。
G:なるほど。まち全体としての取り組みに関する部分かもしれませんね。そうした観点から何か取り組んでおられる活動などはありますか?
米山:そうですね、国際観光都市としての小樽について小樽商大の留学生の人と話をする機会は持っています。具体的な活動はこれからですが、海外の人から見て小樽が観光都市としてどうなのかというあたりをアンケート調査してみたいと個人的には考えています。
G:今後いっそうのご活躍が期待されますね。いろいろと貴重なお話をありがとうございました。最後に、小樽を訪れる海外のお客さまに一言、メッセージをお願いいたします。
米山:小樽は歴史の香り漂うロマンチックな町です。このロマンチックな小樽をもっともっと楽しんでいっていただければと思います。
G:ありがとうございました。
取材メモ
取材に伺った日、庭園はまだ準備中の様子だったが、間もなく素晴らしい景色を楽しめるようになるだろう。もうすぐ桜の季節、今年もあの美しい景色を見るのが楽しみだ。この時期に小樽を訪れることがあれば、ぜひ一度足を運んでみてはどうだろう。 インタビューでも出てきたように、宏楽園の詳しい情報はホームページから入手できる。こちらも、実際に足を運ぶ前にチェックすることをお勧めする。
追記:
2007年2月にホームページがリニューアルされ、より一層内容が充実されたようだ。2006年12月からの新サービス、アロマ・エステティック RAKU の情報も提供されている。
宏楽園
- 小樽市新光5丁目23番1号
- 電話 (0134)54-8221
- FAX (0134)54-8223
- http://www.otaru-kourakuen.com/