もうしばらく様子を見ていれば状況は変わったのかもしれないが、この場所はあきらめて移動することにした。当てはないので、とりあえず豆チカ３匹の第一埠頭へ。

行ってみると、角のあたりに５～６組の人たちが釣りをしていた。ひとりの方にお話をうかがうと「今日はサバが釣れてます。天ぷらにすると美味しいですよ」とのこと。海には魚の姿がちらほら見えた。今日は自分もここで釣らせてもらうことにした。

サビキを降ろしてみるが、いまひとつ魚が食いつかない。アミを撒けば魚は寄ってくるが、なんだか冷めたふうで相手にしてもらえない感じ。「大量に釣って、たらふくから揚げを・・」は幻想に終わりそうだった。

しかし、晩御飯のおかずがかかっているので、そう簡単にあきらめるわけにはいかない。初めての試みとして、この日は市販のマキエを使ってみることにした。実は「さらに大量に釣る」ために前もって札幌のアメリカ屋で買っておいたものだったが、すがるような気持ちだった。

車のトランクに入れておいたチカ用の粉エサを引っ張り出し、使う分だけ小さいビニール袋に移した。小分けにした袋の中からひとつまみ、海面に撒いてみる。さあどうだろうか？
うーむ、寄ってはくるが、やはりなんとなく冷めた感じ。つんつんして知らんふりをして見せるような。どうして今日の魚はこんなに擦れているんだろう。

それならばと、さらにもうひとつ奮発して買っておいたオキアミエキスの液状エサ（？）を試してみることに。キャップを開けて密閉用の中蓋を引き剥がすと、うわっ、蓋の裏にうっすら付いていたぶどうジュース色の液がわずかに飛び散った。服に付いたシミに鼻を近づけてみると、うーん、これはパワフルなニオい、、、期待できそう。

小分けにしたビニール袋の粉エサに液を加えて袋ごと握り練って合わせてみた。いい感じの練り具合になったところで、少し取り出して海に撒いてみる。今度は海水とすぐになじむ感じで、もくもくと煙幕のように粉エサが拡散していった。液を加えて練り合わせると水中での拡がり方が全然違うのでちょっと驚いた。

間もなく魚が集まり始めた。あれ？でも、今度はさっきと様子が違うような。なんだかマキエの煙めがけて突進してくる感じ。加えて「ほーれ」とオキアミも投入してみると状況はさらに好転、気づくと僕の足元の海は激しくエサを追い求める魚だらけになっていた。いったいこの変わり様はナンなのか？

活気付いた海にサビキを降ろすとすぐに魚が食いついてきた。１５ｃｍくらいのサバだった。そこからは連続して１０～２０ｃｍくらいのサバが次々と釣れた。途中、魚がいなくなることが何度かあったが、さっきの練りエサですぐにまた魚が寄ってきて、ほぼずっと釣れる状態をキープできた。例によって釣れた魚を針から外す要領が悪く「前回より大量に」とはいかなかったが、２時間半くらいの間にサバが約５０匹、チカを９匹釣ることができた。最初に教えてもらったとおり、この日はサバをたくさん釣ることができた。

持ち帰った魚は天ぷらにしていただいた。
チカはもちろん、小サバの天ぷらも最高に美味かった。

僕みたいな素人にも釣れたのは、やっぱり運が良かったのだと思うけれど、魚がいるところではマキエが非常に有効で、釣果を上げるために重要なことは間違いなさそうだと思った。